AWSの保守とサポートはどうする?運用代行サービスの選び方のポイント

AWSのようなパブリッククラウドサービスでの保守とサポートはどのように行えばいいのでしょうか?またAWSではユーザーに代わって、運用・監視・障害対応・技術サポートなどを代行するパートナー企業が多数存在します。サービス提供会社によって対応範囲はさまざまですが、AWSの稼働を監視し、必要に応じて障害一次対応を行うケースがほとんどです。契約内容によっては、二次対応や技術サポートなども請け負います。
このように、AWSを運用するうえで気になる保守とサポートについて、「AWSで保守って必要なの?」「委託したいけど、どの会社が良いのだろう?」「どうやって選べば良いの?」とお悩みの担当者も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、AWSの保守とサポートまた運用をサポートしてくれる最適なAWSの監視・運用代行サービスを選ぶためのさまざまな情報をお伝えしていきたいと思います。
AWSの保守は必要?
オンプレミスの運用では物理的なサーバーの管理を行うため、5年ほどのサイクルでOSのアップデートやリプレイスなどの作業が必要でした。しかし、AWSのようなパブリッククラウドサービスではデータセンターや物理的なサーバーの保守・管理はAWSが行うため、オンプレミスで必要だった保守作業は不要となります。
AWSの運用を考えるときに責任共有モデルをベースに検討を行います。責任共有モデルではAWSはクラウドサーバーのハードウェアやホストOS、物理的なセキュリティなどを担当します。AWSが担当している部分は、常に最新のセキュリティパッチやファイアウォールが適用された安全な状態です。対して利用者はゲストOSやミドルウェア、アプリケーションや構築したシステムについてのセキュリティを担当する必要があります。AWSでは物理的なサーバーの保守は必要ありませんが、AWS上でシステムを正常に稼働させるための監視・障害対応、また技術的な課題を解決するために技術サポートの利用は必要となってきます。

出典:責任共有モデル
1. AWSのサポートプラン
「AWSサポート」はAWSが公式に展開しているサービスですが、こちらは電話やチャットで技術的な相談ができるサービスとなっています。サーバー監視や障害対応などはしてくれませんので、お間違いないようご注意ください。
AWS公式の「AWSサポート」について簡単にまとめました。
月額料金とサポート内容 | |
|---|---|
ベーシック | 月額:無料 |
ビジネスサポート+ | 月額:29 USD またはAWS利用料に応じた従量料金のうち高い方 |
エンタープライズサポート | 月額:5,000 USD またはAWS利用料に応じた従量料金のうち高い方 |
Unified Operations | 月額:50,000 USD またはAWS利用料に応じた従量料金のうち高い方 |
※月額料金の決まり方は複雑なので、AWS公式サイトで詳しくご確認ください。
AWS公式の「AWSサポート」は、自社運用する場合の相談窓口として利用するのがおすすめです。特に企業でAWS上にシステムを構築するようなビジネスに直結する環境ではビジネスサポートもしくはエンタープライズサポートの加入を強く推奨します。AWSサポートに加入していない場合、結果として対応が遅れることやAWSに確認しないと根本解決できない場合などがあります。
AWSサポートに加入したうえで運用や監視、障害対応などを自社内ではなく他社に委託したい場合は、これから説明する「AWSの監視・運用代行サービス」を利用すると良いでしょう。
2. AWSの監視・運用代行サービスで実現できること

AWSの監視・運用代行サービスを委託すると、どんなことを実現できるか詳しく解説していきます。
2-1. AWSの監視・運用代行サービスの内容
前述した通り、会社やプランごとにAWSの監視・運用代行サービスの内容はさまざまです。そこで、サービス内容を6つに分類し、実際にどんなサポートを得られるのか、まとめてみました。
AWSの監視・運用代行サービスの6つのサービス | |
|---|---|
監視 | 専用監視サーバーを使用して、AWSの稼働に異常がないかを常時監視 |
通知 | システム障害発生時に、指定した先にメールなどで通知を送信 |
自動復旧 | システム障害発生時に、自動復旧スクリプトによる再起動を実施 |
障害一次対応 | 障害を検知した時に、サービス再起動などの一次対応を実施 |
運用代行 | 設定変更など、日々のオペレーション作業を代行 |
技術サポート | AWSを運用する上でのトラブルや疑問に回答、コスト削減の提案なども |
①監視
AWSの監視・運用代行サービスの基本となるのが、「監視」です。監視システムを使ってAWSインスタンスを24時間365日監視することで、障害の発生に早く気づき、すばやく対応できます。
監視対象の応答を監視する「外部監視(死活監視)」と、CPU使用率などを監視する「内部監視」など、複数の方法を用いて監視するのが一般的です。
②通知
システム障害検知時・復旧時・復旧失敗時などに、あらかじめ指定した連絡先にメール・電話・Slackなどで通知します。
③自動復旧
監視対象が一定時間以上応答しない場合などの障害を検知した際に、自動復旧スクリプトにより再起動を行います。
Webサイトがアクセスできなくなることで機会損失を被るといった事態を回避できます。
④障害一次対応
監視しているAWSシステムの障害を検知した際に、状況を調査し、事前に決められた一次対応を代行して実施します。
例えばプロセスやOSの再起動、OSの切り分け、サーバー再起動など、事前に障害対応手順を作成しておき、万が一のトラブルに備えます。
⑤運用代行
運用に関わるさまざまな設定変更などを代行して行います。
例えば、インスタンスの停止、起動、再起動、設定変更、その他、AWS上で発生する運用作業・サーバーへのセキュリティパッチ適用の検討、作業代行などを決められた作業時間範囲内で依頼できます。
⑥技術サポート
AWSアーキテクチャの最適化や、各種課題解決策の考案、コストやオペレーション改善、セキュリティ対策など、AWSに関わるさまざまな技術支援を行います。
※ここに記載した内容は一般的なものです。サービス提供会社ごとに異なる場合がございます。
2-2. AWSの監視・運用代行サービスの対応範囲
前述した通り、サービス提供会社によって、サポートの対応範囲はかなり異なります。また、同じ会社でもサポート範囲が違うプランを用意している場合もあります。
ほとんどのプランが監視・通知・障害一次対応まで実施してくれるものですが、監視・通知だけのプランや、運用代行・技術サポートまで受けられるプランもあります。
AWSの監視・運用代行サービスを選ぶ時は、どこまでの対応が可能なのかがキーポイントとなります。
3. AWSの監視・運用代行サービスを使うメリット・デメリット

AWSの監視・運用代行サービスの内容が分かったところで、外部委託するメリットとデメリットについて解説します。AWSの監視・運用代行サービスを委託するのが適切かどうかは、会社の状況によって変わります。メリットとデメリット両方を理解したうえで、代行依頼するかどうかを判断していきましょう。
3-1. AWSの監視・運用代行サービスを使うメリット
AWSの監視・運用代行サービスを使うメリットは自社のリソースを割かなくて済むため、コア業務に専念できることです。AWSの監視・運用代行サービスを利用すれば、自社のリソースを割かなくて済むため、人材コストや教育コストを削減できます。何かトラブルがあった際にも、自社内で対応する必要がなく、代行会社の実績豊富なエンジニアに対応をお願いできるため安心して本来のコア業務に集中できます。
3-2. AWSの監視・運用代行サービスを使うデメリット
AWSの監視・運用代行サービスを使うデメリットには、以下の2つが考えられます。
①社内のリソースが育ちにくい
AWSの監視・運用代行サービスを使う一番大きなデメリットは、社内のリソースが育ちにくいということです。
障害対応や技術的なサポートをアウトソースすることで、社内のリソースを割かなくてもAWSを安定運用させることができます。しかしこれは逆に言うと、社内のリソースが成長する機会を与えられないともいえます。
何かあった時に代行会社に対応してもらえるため、対応方法などの経験が社内に蓄積できません。
これを避けるためには、代行会社と打ち合わせをして、代行する部分と代行しない部分を決めておくなどの対応を取ると良いでしょう。
②状況によっては迅速に対応できない場合がある
何かあった時に代行会社任せになってしまうため、状況によっては迅速な対応ができないケースもあります。
例えば、代行会社の対応時間に制限がある場合は、深夜や年末年始などに対応が遅れる可能性がゼロではありません。そうした事態を避けるため、24時間365日有人対応している代行会社を選ぶことは必須です。
また、エンジニアの技術力によって対応に差が出る危険性もあります。AWS認定資格を持つ担当者が担当してくれるのか、たくさんの運用実績があるのかなど、アウトソース会社を選ぶ際にしっかり見極める必要があります。
4. AWSの監視・運用代行サービスのアウトソース先を選ぶポイント
「どこの会社にAWSの監視・運用代行サービスを委託すればいいのか?」迷ったら以下の5つのポイントに着目してみましょう。
4-1. 監視・運用代行サービスの対応範囲が適切か
アウトソース先を選ぶうえでもっとも大切なのは、依頼した場合に「どこまで対応してくれるか」です。
障害対応は自社という場合は監視や通知のみでも良いでしょうが、多くの場合は、何か障害が起きたときの対応範囲が重要です。
例えばこんなところを確認しよう
障害を検知した時に、自動復旧する仕組みはあるか?
手順書による障害一次対応が可能か?
障害対応手順書を作成してくれるか?
24時間365日、有人体制が敷かれているか?
その他、どこまでのレベルでの障害対応が可能なのか?
サーバー停止ともなれば、多額の機会損失が発生する可能性があります。できるだけ早く復旧するためには、自動復旧の仕組みが有効なケースもあります。自動復旧の仕組みの提案・提供があったり、事前に決めた手順書による障害一次対応をしてくれる会社を選ぶと安心です。
4-2. 信頼できる技術力があるか
どれだけ対応が早くても、実施した障害対応が適切でなければ意味がありません。せっかく代行会社に監視・運用代行サービスを依頼しても、その会社のエンジニアの技術力が低ければ、適切な対応ができない可能性があります。
監視・運用代行サービスのアウトソース先を決める際には、AWSについての幅広い知識や経験を持っている会社を選びましょう。
できれば、ITインフラの運用支援を長年行っている会社で、AWSに関するノウハウを豊富に持っている会社が良いでしょう。AWSだけでなくマルチクラウドやオンプレミスの知識を持っている会社もおすすめです。
4-3. AWSの監視・運用代行サービスの実績は十分か
AWSの監視・運用代行サービスの実績や経験が豊富な会社を選びましょう。
いくら知識があっても、実際に運用した経験や障害対応に当たった実績がない会社に任せるのは危険です。見積時に、AWSサポートの実績や導入事例などを具体的に質問してみると良いでしょう。
また、実際にどんな障害が発生しがちなのか、その対処方法など、丁寧に回答できる会社なら安心です。
4-4. 内容を柔軟にカスタマイズできるか
会社ごとにアウトソースしたい内容は少しずつ異なるはずです。そのため、パッケージでサポート内容がキッチリ決まっているサービスよりも、ある程度カスタマイズできる監視・運用代行サービスの方がおすすめです。
「月額は○万円で、保守内容はここからここまで」とパッケージ化された監視・運用代行サービスメニューを設定している会社もありますが、その対応範囲の中には、アウトソースの必要がない作業が含まれている場合があります。そうすると、不必要な作業工程のために月額固定料金を払うことになりかねません。
一方、例えば「月額○万円~で、保守内容や手順書を一緒に作っていきましょう」という柔軟なメニューなら、不必要な対応内容にコストを払うこともなく、本当に必要な対応にお金を払うことができるでしょう。
4-5. 運用時の疑問に答えるサポート体制があるか
何かあった時の障害対応も大事ですが、平常の運用時にも何でも質問できるサポート体制があると安心です。
AWSの監視・運用代行サービスに監視や障害対応を一任すれば、自社の代わりにAWS運用を回すことが可能です。しかし一方で、自社にAWSに関するノウハウや経験が蓄積できないデメリットもあります。
そこで、できれば自社内でも担当者が運用しながら、運用時に疑問に思った点やさらなる運用の最適化についてアドバイスを受けられる会社がおすすめです。
有事の時だけでなく、普段から困ったことを何でも相談できるような、幅広い知識を持った会社を選ぶと良いでしょう。
5. NHN テコラスの監視・運用代行サービスをご紹介
ここまでお読みいただき、AWSの監視・運用代行サービスの内容や費用感、選び方について、理解が深まったのではないでしょうか。ここからは、NHN テコラスのAWS活用支援サービス「Cloud Chorus」についてご紹介します。
5-1. NHN テコラスとは

当社は、お客様のITインフラの運用支援を20年以上行っている会社で、AWSだけでなくオンプレミスやハイブリッド、マルチクラウドにも対応できる確かな技術力と豊富な経験を持っています。
AWSサポートを行っている会社にはクラウド専業ベンダーも多いですが、物理サーバーもクラウドも熟知しているエンジニアが多いのが当社の強みです。
また、AWSの導入支援実績が認められ、AWSパートナーネットワークではプレミアティアサービスパートナーの認定を受けており、AWSの次世代 MSP認定プログラム「AWS マネージドサービスプロバイダプログラム」も取得しています。AWS MSPプログラムは、世界中で数万社が加入しているAPNにおけるアドバンストおよびプレミアティアのAPNサービスパートナーを対象としたマネージドサービスにおけるAWSの技術認定プログラムとなります。
本プログラムは、高度なソリューションの設計・実行能力やDevOps観点での柔軟なクラウドインフラストラクチャの設計、アプリケーションの移行能力などの技術項目にとどまらず、顧客第一主義の観点からビジネスの健全性や、セキュリティの管理能力、サービスの継続性など、計100近いチェック項目に対して、第三者機関による厳正な数日間の監査をクリアした事業者に対して認定されるものになります。
5-2. NHN テコラスの監視・運用代行サービスは2プラン
NHN テコラスの監視・運用代行プランは2種類あります。
サポート内容 | クラウド監視・運用プラン | インフラ監視・代行プラン |
|---|---|---|
主な目的 | 可観測性を高め、障害予防・継続的な運用改善まで支援 | 障害の迅速な検知と一次復旧を中心に支援 |
初期費用 | 0円〜 | 100,000円〜 |
月額費用 | 250,000円〜/一式 | 15,000円〜/インスタンス |
一次対応 | 24時間365日の有人対応 | 24時間365日の有人対応 |
二次対応 | 運用エンジニアが支援し、障害クローズまで伴走 | オプション |
レポーティング | 定期レポートを標準提供 | オプション |
監視範囲の例 | サービス、インフラ、アプリケーション性能、ビジネスメトリクス、セキュリティリスク | URL死活、CPU・メモリ・ディスク・プロセスなど |
クラウド監視・運用プランは、クラウド環境に適したモニタリングにより、システムの現状可視化と障害予防を支援するプランです。インフラだけでなく、アプリケーションのパフォーマンス、ビジネスメトリクス、セキュリティリスクも対象に、定期的なレポートを提供します。障害発生時は24時間365日の有人体制で一次対応を行い、運用エンジニアが原因調査や復旧までの対応を支援します。
インフラ監視・代行プランは、24時間365日の有人監視により、障害の迅速な検知と一次復旧を行うプランです。URL死活監視やCPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率、プロセス監視などを、お客様の環境や要件にあわせて設計します。障害二次対応や定期レポーティングは、必要に応じてオプションでご利用いただけます。
さらに、AWS環境のコスト・セキュリティ最適化を継続的に支援するCloud Optimize Manager(COM)、AWSの設計・構築・設定変更などを支援するAWSのエンジニア技術・作業支援、AWS導入支援、AWS移行支援など、課題や運用体制に応じたサービスもご用意しています。
5-3. AWS請求代行サービスを組み合わせるメリット
Cloud ChorusのAWS請求代行サービスは、AWS利用料金の請求・支払いをNHN テコラス経由でご利用いただけるサービスです。対象プランではAWS利用料の割引に加え、日本円建ての請求書払い、初期費用・各種手数料無料、24時間365日のAWS技術サポート、クラウド保険などをご利用いただけます。
AWSを直接契約している場合、AWS利用料に加え、支払い・請求処理や技術サポートに関する費用・運用負荷が発生することがあります。AWS請求代行サービスを利用することで、コスト面だけでなく、支払い・請求業務や技術的な問い合わせ先をまとめて見直すことが可能です。
Cloud ChorusのAWS請求代行サービスでは、24時間365日のAWS技術サポートを追加料金なしで提供しています。AWSに関する技術的な問い合わせや各種申請については、NHN テコラスが一次窓口として対応し、必要に応じてAWSとも連携します。
※本サポートはCloud Chorusによる独自の技術サポートであり、お客様ご自身がAWSのエンタープライズサポートを直接利用できるものではありません。
なお、AWS請求代行サービスの技術サポートは、AWSに関する相談や調査を支援するものです。システムの常時監視、障害発生時の一次復旧、運用手順に沿った対応などが必要な場合は、本記事でご紹介したAWS監視・運用代行サービスとの組み合わせをご検討ください。
この記事では、AWSの監視・運用代行サービスの利用を検討されている方に向けて、AWSの監視・運用代行サービスの選び方を中心に解説してきました。 最後にもう一度まとめると、アウトソース先を選ぶために注目すべき5つのポイントは以下です。
サポートの対応範囲が適切か
信頼できる技術力があるか
AWSの監視・運用代行サービスの実績は十分か
内容を柔軟にカスタマイズできるか
運用時の疑問に答えるサポート体制があるか
特に、監視・運用代行サービスの対応範囲(どこまで対応してくれるか)はもっとも大切なポイントです。自社がアウトソースしたい内容と、アウトソース先が対応してくれる内容が合致しているか、気を付けて確認し、自社にあった監視・運用代行サービスを選び、安心してAWSを運用していきましょう。
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公開日 2021/04/02
最終更新日 2026/09/10